映画が大好きなOLが、映画館で観たりDVDで観たりした映画を好き勝手にひとりごと。ネタばれありです。
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大統領の執事の涙



原題:LEE DANIELS' THE BUTLER
監督:リー・ダニエルズ
出演:フォレスト・ウィテカー、オプラ・ウィンフリー、ジョン・キューザック、ジェーン・フォンダ他
製作:2013年アメリカ
上映時間:132分
配給:アスミック・エース
オフィシャルサイト


ストーリー:

綿花畑の奴隷として生まれたセシル・ゲインズは、1人で生きていくため見習いからホテルのボーイとなり、やがて大統領の執事にスカウトされる。
キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争など歴史が大きく揺れ動く中、セシルは黒人として、執事としての誇りを胸に、ホワイトハウスで30年にわたり7人の大統領の下で働き続ける。
白人に仕えることに反発し、反政府活動に身を投じる長男や、反対にベトナム戦争へ志願兵として赴く次男など、セシルの家族もまた、激動の時代に翻弄されていく。


  


7人のアメリカ大統領に仕えた黒人執事。

任期34年の間に起こったアメリカの事件が、アフリカ系アメリカ人のセシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)の語りで描かれる。

母親が雇い主に乱暴され、反発しようとした父親がゴミのように銃で撃たれ死亡という、当時の黒人奴隷の現状から物語は始まる。

淡々としつつ衝撃的な冒頭シーンだが、アメリカ社会の黒人と白人の現実がここに凝縮されている。


大統領の執事の涙1


息子セシルは家を出、困難な生活(ここはほぼ描かれていない)の後にホテルのボーイからやがてはホワイトハウスの大統領執事になる。少なくとも職場で白人に殺されることはない世界。当時は大出世だったろう。

当時の一般的な黒人と言うとかなり貧しい生活を強いられているイメージが強いが、セシルは違った。彼の住む家、妻や息子の服装、友人関係などからゆとりある生活だということは容易に想像できる。

奴隷だった両親を見ているセシルは、決してあのようにはならないという強い決意と共に、自分の人生を誇りに感じていた。

ボーイ時代に教わった「何も見ない、何も聞かない」を胸に刻み、黒人蔑視を憚らない偉ぶった白人達を前に黙々と給仕を続ける。「ハウス・二グロ」(=執事)という蔑称も彼を憤慨させるものではなかった。仕事と人生に満足していたから。

その落ち着いた品格のある物腰に、セシルを良く思うのは同僚だけではなく歴代の大統領達も同じだった。その大統領が優しかろうと黒人差別主義だろうと関わらず。


大統領の執事の涙3


この作品の注目点は、セシルの人生と同時進行で描かれるアメリカの歴史にもある。

1957年、アイゼン・ハワー政権。大統領を演じたのは死去が記憶に新しいロビン・ウィリアムズ。

1961年ケネディ政権。1964年ジョンソン政権。1965年のマルコムXの講演会。アラバマ川周辺で起こった「血の日曜日」。1969年ニクソン政権。1986年レーガン政権。

当時の映像も交えて臨場感を出す。


大統領の執事の涙2


父親セシルに反発し、黒人の人権を勝ち取ろうと行動する長男ルイスが、キング牧師と活動を共にするシーンもある。

セシルとルイスの関係性も映画の見所のひとつ。

白人に従属する仕事だと父を蔑むルイスにキング牧師が言った「執事は、威厳ある態度で人種間の憎しみを溶かす素晴らしい仕事だ」という言葉が印象的だった。

ルイスもセシル本人さえも気付いていなかっただろうが、黒人執事は白人と黒人の関係性の橋渡しになっていたと私も思う。


時代の流れに沿い、黒人達の人権主張の声も高まる。

先頭を切るルイス。
ホワイトハウスの執事を続けるセシル。

自己主張をせず黙々と真面目に仕事をこなすセシルが、白人のように給料を上げて欲しいと申し出るシーンが心に残る。1度目は跳ね除けられた時点で引き下がるが、2度目はレーガン大統領を味方につけ実現させる。

セシルがそのことを誇ることなく自慢することもないが、レーガンの奥さんに大した人ねと褒められパーティーに招かれるまでの存在になる。それでもいつも通りのセシル。とことん謙虚さが身に付いた人物だ。フォレスト・ウィテカーはまさに適役。

そのパーティーを引き金に年老いたセシルの心に変化が訪れる。白人、しかも大統領に招かれたという華々しい功績なはずが、その違和感に心にぽっかり穴が開く。長年続けた執事の仕事を辞する。息子ルイスに共鳴し始めるのだ。

街頭演説するルイスにすまなかったと頭を下げに行くシーンが泣ける。父と息子の親子愛がここでハッピーエンドを向かえる。

足取りも怪しくなるほど年を取ったセシルは、同じく年の妻が眠るように死んだ後、黒人初のアメリカ大統領となったオバマの執事となるべく再びホワイトハウスを訪れる。そこでジ・エンド。

黒人が長い苦難の歴史を越え勝ち取った人権は、ルイスの歩んで来た人生そのものだ。終焉間近な彼の人生がキラキラと輝いて見えるラストシーンに心が晴れる。


大統領の執事の涙




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