映画が大好きなOLが、映画館で観たりDVDで観たりした映画を好き勝手にひとりごと。ネタばれありです。
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原題:GRBAVICA/GRBAVICA(英語:THE LAND OF MY DREAMS)
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
出演:ミリャナ・カラノヴィッチ、ルナ・ミヨヴィッチ、レオン・ルチェフ、ヤスナ・ベリ、デヤン・アチモヴィッチ他
製作:2006年ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
上映時間:95分
配給:アルバトロス・フィルム、ツイン
公式サイト


2006年ベルリン国際映画祭:金熊賞(グランプリ)
エキュメニカル賞
平和映画賞
ミリャナ・カラノヴィッチ・・・ブリュッセル・ヨーロッパ映画祭で主演女優賞


ストーリー:

ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボで、シングル・マザーのエスマは12歳の娘サラと2人で暮らしている。
生活は厳しく、エスマは深夜までナイトクラブで働かねばならない。
疲労が重なったエスマは、ときどき自分の感情をコントロールできなくなり、サラに対して辛くあたってしまう。
一方、娘のサラは戦争で死んだという父親の死について疑問を持ち、エスマを問い詰める。
エスマには娘には言えない隠された過去があったのだ。

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サラエボの花3


初監督で各国で称賛を浴びたのは、32歳の女性ヤスミラ・ジュバニッチ。10代をサラエボの紛争の中で生きた人。それだけでこの映画に対する想いの強さが伝わる。

主演ミリャナ・カラノヴィッチはセルビア生まれ、その娘役ルナ・ミヨヴィッチはサラエボ生まれ、ミリャナと親しくなるペルダ役のレオン・ルチェフはクロアチア生まれ。

それぞれの国の名前を聞くだけで、一体どれだけのつらい思いや経験をして生きてきた人たちなんだろう・・・と、勝手に心を痛めてしまう。戦争、紛争、という単語がすぐに思い浮かんでしまうから。


舞台は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボ。ボスニア紛争の傷跡が残るサラエボで懸命に生きる女性エスマが主人公。

この前観た「こわれゆく世界の中で」と同じで、エスマ(ミリャナ・カラノヴィッチ)は裁縫の仕事をしている。でも、収入は厳しく、ナイトクラブでウエイトレスの仕事も始める。娘の修学旅行のお金が必要なのだ。

親がシャヒード(殉教者)なら修学旅行の費用が減額になる。シャヒードは、戦死した英雄扱い。残された遺族は誇りに思う。

エスマの夫はシャヒードなのに、減額申請しないエスマ。遺体が見つかってないというのもあるが、何か秘密を抱えていると、娘サラ(ルナ・ミヨヴィッチ)もなんとなく感じ始める。

サラには、ケンカがきっかけで親友になった同級生の男の子がいる。サラは誰にでも受け入れられる性格じゃないぶん、親しい友人はわずかだが、それはそれで小学校生活を楽しんでいる。

その男の子のお父さんは、敵にのどを切られて死んだ。そのことをサラに告げ、父が残した拳銃で撃ち合って遊ぶ。自分の父親はこうやって殺されただなんて会話を子供がするのが普通っぽいなんて、悲しすぎる。

サラエボの花2


サラ役のルナ・ミヨヴィッチ、もちろん幼くあどけないんだけど、大人っぽいなー。真っ白な肌に真っ赤なぷっくりくちびるで、美人さん。

ボスニア紛争では20万人が死に、難民・避難民が200万人も発生し、ヨーロッパ最悪の紛争と言われている。

生き残っても傷だらけの心で生きている人がたくさんいるのだろう。そのひとりがエスマ。娘サラはボーイッシュで生意気ざかりでケンカっぱやい女の子。母親をもちろん愛していて、自分が捨てられないかと不安がるかわいい面も。

父親を知らないサラが、「私のどこが父さんに似てる?」とエスマに聞き、髪の色がそっくりと言われ、うれしそうに自分の髪を触るシーンがぐっときた。ふだんつっぱってるサラも、心を痛めて生きてるんだなと感じられるシーン。

だけどとうとうエスマがサラに隠し続けてきた過去が暴かれることになってしまう。

修学旅行にシャヒードの申請をしなかったことを強く疑問に思ったサラが、「本当は私の父親が誰だかわからないんでしょう、大勢にレイプされたから」と言い放つ。サラのほっぺたをひっぱたくエスマ。

拳銃をエスマに向け詰め寄るサラ。興奮したエスマはとうとうそうだと認めてしまう。収容所キャンプで敵兵にレイプされできたのがあんただよと真実を口にしてしまう。

映画冒頭シーンでも流れた、たくさんの女性たちが悲しそうな顔をしてうつろな顔をし歌に耳を傾けていたのは、そういう心にも体にも傷を負った人たちの集いだったのだ。

再びこの集いのシーンが流れ、声を殺し泣き崩れるエスマの姿が映し出される。どの女性も死にそうな表情をしている。すごくつらいシーン。エスマの気持ちを思うとやりきれなくて泣けた。

ここまでくると、エスマが夜の仕事場でときどき具合悪くなったり裏で涙を流していたりしていた理由がわかる。精神安定剤のような薬を飲んでいた理由も。ただ単に紛争により心を痛めただけじゃなかったと。

その頃、サラはなんとバリカンで髪を全部剃っていた!髪の色が父親にそっくりよと言われたから・・・。

だけど「私のどこが父さんに似てる?」と聞かれたときのエスマの心情も思うと、どんなにか笑顔を保つのに苦労しただろうと傷つく。

エスマの傷もサラの傷も深い。戦争で心にも体にも深い傷を負うのはいつだって女性と子供。

ルナ・ミヨヴィッチ、たぶん本当に髪を丸刈りにしたんじゃないかな。12歳のプロ根性。

サラエボの花1


最後、丸刈り頭に水色のバンダナを巻いたサラが、無事修学旅行へ旅つシーン。

言葉なく複雑な表情でサラを抱きしめるエスマ。暗い表情のままバスに乗るサラ。

でも、バス後部座席から母を振り返り手を振るサラ。それを見てうれしさのあまりぱっと笑顔になるエスマ。

知らないほうが良かったかもしれない真実だけど、知りたくて知ってしまったサラと、言わないと誓ったのに言ってしまったエスマ。

どちらも深く傷ついたけど、真実と向き合いながら生きて行くと決意したんだろう。

良かった。2人は大丈夫。修学旅行からサラが帰って来てもうまくやっていける。

どんなひどい悲劇が起こったかは、映画公開当時のサッカー日本代表オシム監督のメッセージをご覧ください。

彼もまたボスニア紛争の被害者のひとりだったそう。

それぞれのシーンをていねいに作った印象が強く、ここ最近でいちばん涙が止まらなかった映画。

32歳の女性監督の思いが、公式サイトの「インタビュー」から知ることができます。


サラエボの花

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